中町商店会ではこの度、中町に暮らし江刺を愛した日本画家・及川豪鳳の作品を展示し、町全体を美術館に見たてた「蔵シックギャラリー」を企画しました。
 及川豪鳳は大正3年、東京小石川にあった川端玉章が主宰する川端画学校で日本画を学びました。豪鳳の卒業作品の植物写生は「甲上」という優秀な成績で、師の川端玉章に「東京に残り画家として大成するよう」に諭されましたが、在学中に両親を亡くし、家族を心配した豪鳳は江刺に帰郷しました。中町に居を構えて、江刺だけでなく、各地から依頼を受けて数多くの掛け軸や襖絵などを残しています。それらの作品は今でも多くの家庭に残っています。
 豪鳳の作品は花鳥を描いたものが多く、自然愛、人間愛に溢れた極めて水準の高いものとして高く評価されています。また仏画の大作も多く、平泉の毛越寺金剛院「釈迦三尊」や水沢市黒石の正法寺「鳳凰図」等が代表作とされています。
 また、豪鳳は地元では書家としても知られ、自宅で書道塾を開き子供たちに教えました。当時の生徒だった方々は「字を書くことだけでなく、言葉の意味やしつけの面も教えてもらった。時にはやさしく、時には厳しい先生だった」と話します。
 以前から中町では及川豪鳳の作品を大事にしており、平成10年には小さいながらも「中町豪鳳美術館」がオープンし、蔵を活かしたまちづくりで注目される中町を訪れる人々の心を和ませてきました。今回企画しました「蔵シックギャラリー」は、及川豪鳳をはじめ、江刺にゆかりのある文化・芸術面で活躍した方の作品を取り上げていきたいと考えています。市外からいらしたお客様はもちろん、江刺に住んでいる私たちが江刺の事をもっとよく知る事で江刺が大好きになり、江刺に誇りをもつ事が出来るようになれば幸いです。
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