賢治がこよなく愛したイーハトーブ、岩手県は、実に 多様な自然環境を有している。東に早池峰山や種山ヶ 原を望む北上高地、西に岩手山、八幡平が居並ぶ奥羽 山脈、そしてその間を北から南へ、ゆったりと流れる 北上川。賢治はこういった県内の様々な地域や場所を 良く歩きまわった。イーハトーブの自然は賢治の創作 活動や彼の人生ともののみごとに融合され、ついには 「第四次元芸術空間」に高め上げられている。

 

 賢治のほとんどの童話には、様々な動物が登場している。特に ヤマネコを物語に起用していることは興味深い。賢治が在世中 には、日本原産のヤマネコは認識されていなかった。賢治のイ メージしたヤマネコは、大陸の寒冷地に生息する大柄で骨太の オオヤマネコを連想させる。また、あまり一般的でないヨタカ を物語の主人公にしていることも面白い。さらに、ある時は登 場する動物の生息環境が克明に描かれているかと思うと、ある 時は宇宙空間の中にまで動物たちが現われたりもする。イーハ トーブの動物たちの生息環境は実に幅広い。

ほそかわこうし・プロフィール
◆1957年*岩手県大東町に生まれる *小学校の頃から自然博物学に興味を持ち、  動物の絵を描き始める。

 

◆1979年 *アメリカ、ロサンゼルスに在住、ワイルドライフアート(野生生物生態画)を研究。
◆1993年 *江刺市に移住、以後身近な自然をモチーフに創作活動を開始。
◆1996年 *「宮沢賢治生誕百年記念」の絵葉書のイラストを担当。
◆1997年 *「日米親善ロスアンゼルス芸術祭」に出品。 *「首都圏胆江ふるさと会創立五周年記念美術展」に出品。
◆1998年 *岩手日報社発行『ふらすこ』誌の 「いわて植物図鑑」のイラスト担当中。 *東京都国立市のコート・ギャラリーにて 「グループ新未来展」を開催。 *その後各所にて個展を展開。
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