秋から冬へ、銀河がその見える様子を変えて行く。この地方で見える星空を、銀河をわたりながら巡ってみよう。
 夏には頭上に見えていた白鳥や南天の射手が西へと移り、秋の空にはアンドロメダやペガススの星が昇ってきます。その後からは、ペルセウス、ぎょしゃ、おうし等が澄みきった秋の大空を埋め尽くします。東天に現れるおうし座のスバル、青白くきらめく星(目では7つ見える)が、秋の深まりを告げます。目を南西に移してみると、暮れなずんだ秋の空に低く、水瓶座と南のうおがやや寂しそうに一等星フオーマルハウトを抱いて光っている。春には上空にあったあの北斗七星が焼石連峰の上に横たわっている。
 やがて、東天にオリオンが現れ、大空は冬の空へと移る。地平線から三つ星がまっすぐ上に向かって昇る様が見える。オリオンの三つ星のすぐそばのオリオン大星雲は冬の夜空をかざる最もめだつ星(散光星雲)、そこには星の誕生ドラマもある。オリオンに続くシリウスは全天の星空で最も明るい恒星である。
   こうして、我々は、銀河のほぼ中央からその縁に近いところまで、地上にいながら眺めることができる。広大な銀河がこの地方の夜空をめぐる。その銀河をもっと詳しく測ろうと、世界でもまったく新しい国立天文台水沢のVERA電波望遠鏡が動いている。2005年には月に向けて、国立天文台で開発した装置を載せた探査船が打ち上げられる。
 この地方で星空を、この宇宙の大きさをいつも眺められればいいと、この9月に胆沢の奥に天体の観察点(マイホーム観測点)を新設しました。名付けて「スカイフィールド胆沢」です。まわりは灯りがなく、彼方には焼石連峰が雄大に見え、空気も澄んでいます。目下基台二つですが天体観望には最適地の一つになるでしょう。今回はそこで撮ったアルバムも展示しました。
略歴■昭和16年生まれ、東北大学理学部天文学科卒。■昭和38年文部省緯度観測所に入所、同第一天文観測課長、その間約2年間、カナダ、ブリテイッシュ・コロンビア大学に研究滞在。■昭和62年国立天文台地球回転研究系教官、平成4年より総合研究大学院大学数物科教授併任。地球惑星科学の研究および教育と宇宙観測システムの開発等に従事。■国立天文台名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授。
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