八重吉煎餅店が、平成10年12月19日、中町の拡幅・整備にともなって増築・改装され、土蔵は一階が店舗、二階がギャラリーとして生まれ変わった。 増築・改装部分の建築デザインはフォーライフ、設計が長澤沙織設計室、施工・(有)千葉技建。従来の店舗とは、ひと味もふた味も違い、蔵を有効活用した新しい店舗に期待が膨らむ。 ギャラリーは、「亀の子せんべい」にちなんで「亀の子館」と名付けられ、無料で貸している。
昭和9年に初代・八重樫吉次が現在地にささやかな煎餅店を構えたのが八重吉煎餅店の始まり。 満足におやつがない時代であった。煎餅を焼く香ばしい匂いに誘われ、子供たちが集まり、時々出る焼きそこないや、型からはみ出した煎餅の耳のかけらをもらって喜んでほおばる……。店先ではそんな光景が見られた。 煎餅を焼く仕事は、朝に炭を起こすことから。次に良質の小麦粉を使って煎餅生地を練る。炭火で熱くしておいた焼き型に油を引き、生地を流し込んで焼き始められる。 炭の弱火でじっくり焼く。そんな昔ながらの手法だからこそ、今なお八重吉の煎餅は創業当時と少しも変わらぬ味と品質を保ち続けているのだろう。
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及川礼子 熊谷恵子